今回はCisco Packet Tracerを使用したルーティングハンズオンを行います。
Cisco機器を買ったは良いもののネットワーク帯の構築が分からない、ルーターとPCでの基本設定、pingの疎通はできたがルーター越しの機器との通信方法が分からない、本記事はそんな方向けのハンズオンとなっています。
本記事内ではCisco Packet Tracerを使用していますがシュミレーターでは無く直接機器へ設定するやり方でも可能ですのでCisco機器が一通り揃っている方は実機での操作もおすすめです。
ルーティングなんて難しく感じますがコマンドをちょっとぽちぽちするだけで簡単に出来てしまいますので早速取り掛かりましょう!
本ハンズオンの目標
目標とする構成図
目標
ルーター0とルーター1にスタティックルートを設定しPC0とPC1で疎通確認を取るまでを目標とします。
スタティックルーティングについて
スタティックルーティングとは?
スタティックルートとは管理者が手動で設定した宛先ネットワークまでのルートのことです。
このルートを使用したネットワークルーティングのことをスタティックルーティングといいます。
パッとこない方もいると思うので分かりやすく言うと自分で書いた目的地までの地図をのことをスタティックルーティングといいます。
目的地までの最適な道を自分で作ることで意図しないルーティングの変更を防ぐことができます。
しかもスタティックルートの設定はとてもシンプルなものでどんな方でも自分の思い通りにルーティング設定をすることができます。
ダイナミックルーティングとは?
反対にダイナミックルーティングというものがあります。
こちらはスタティックルーティングのように手動でルーティング設定を行わず自動で目的地までの最適なルーティングを設定してくれます。
ダイナミックルーティングにはいくつかのルールがあります。
そのルールをルーティングプロトコルといいプロトコル毎にルールは変わってきます。
代表的なルーティングプロトコルにはRIP、EIGRP、OSPF、IS-IS、BGPなどがあります。
本記事では詳しい紹介はしませんが後日別記事でルーティングプロトコルにも触れていきたいと思います。
ハンズオン
機器の設置
では早速ハンズオンに取り掛かりましょう。
まずは下図の構成になるようにルーター2台、PC2台を設置して下さい。
※機器の種類に指定はありませんのでお好きな機器を使用してください。
では次にLANケーブルを繋ぎます。
ルーターとPCはどちらも『MDI』ポートです。
『MDI』同士を繋げる場合のLANケーブルの種類はクロスケーブルです。
ということで各機器をクロスケーブルで繋ぎましょう。
※こちらもどのインターフェースに繋げても問題ありませんが後で分かりやすくなるような構成にしましょう。
私は以下のインターフェースでケーブルを接続しました。
■PC0
<Fa0/0>
↕ ※クロスケーブル
■ルーター0
<Fa0/0>
<Fa0/1>
↕ ※クロスケーブル
■ルーター1
<Fa0/0>
<Fa0/1>
↕ ※クロスケーブル
■PC1
<Fa0/0>
下図のようになれば設置は終了です。
IPアドレスの割り当て
パラメーター
IPアドレスの割り当てを行います。
今回は以下のとおりにIPアドレスを設定しました。
■PC0
<Fa0/0>
IPアドレス:192.168.1.254
サブネット:255.255.255.0
デフォルトルート:192.168.1.1
↕
■ルーター0
<Fa0/0>
IPアドレス:192.168.1.1
サブネット:255.255.255.0
<Fa0/1>
IPアドレス:192.168.2.1
サブネット:255.255.255.0
↕
■ルーター1
<Fa0/0>
IPアドレス:192.168.2.2
サブネット:255.255.255.0
<Fa0/1>
IPアドレス:192.168.3.1
サブネット:255.255.255.0
↕
■PC1
<Fa0/0>
IPアドレス:192.168.3.254
サブネット:255.255.255.0
デフォルトルート:192.168.3.1
設定方法
各機器へのIPアドレス割り当て方法を解説します。
<PCへのIPアドレス割り当て方法>
①対象のPCをクリック
②GUIが表示されるので上部タブ、右から3番目の『Desktop』をクリック
③一番左上の『IP Configuretion』をクリック
④『IP Address』『Subnet』に指定のアドレスを入力
⑤保存ボタンとかは無いのでそのままGUIを閉じる
<ルーターへのIPアドレス割り当て方法(GUI)>
①対象のルーターをクリック
②GUIが表示されるので上部タブ、右から3番目の『Config』をクリック
③対象インターフェースのタブをクリック
④『IP Address』『Subnet』に指定のアドレスを入力
⑤右上の『No Shutdown』をチェック
⑥保存ボタンとかは無いのでそのままGUIを閉じる
<ルーターへのIPアドレス割り当て方法(CUI)>
①対象のルーターをクリック
②GUIが表示されるので上部タブ、右から2番目の『CLI』をクリック
③以下順でコマンドを実行する
1:enable
2:configure terminal
3:interface fastethernet x/x
※x/xは指定のインターフェースを指定
4:ip address 192.168.**.** 255.255.255.0
※**.**は指定のIPを入力
5:no shutdown
④CLIを閉じる
スタティックルーティングの設定
状況確認
機器の設置とIPの割り当てが完了しましたね。
当たり前ですがこのままではPC0とPC1では通信の疎通が取れません
各ルーターが隣接した機器より先のネットワーク情報を保持していないからです。
流石に知らないネットワーク宛に通信を飛ばすことは出来ません。
なのでPC0とPC1での通信を実現するには隣接した機器より先のネットワーク情報を各ルーターへ学習させる必要があります。
その学習を自動でさせるのか手動でさせるのか、それがスタティックルーティングとダイナミックルーティングの違いです。
今回はスタティックルーティング、つまりは手動でネットワーク情報を各ルーターへ学習させていきます。
では各ルーターへスタティックルートを設定していきましょう。
設定手順
以下設定手順でスタティックルートをPC0とPC1に設定して下さい。
<ルーターへのスタティックルート割り当て方法(GUI)>
①対象のルーターをクリック
②GUIが表示されるので上部タブ、右から3番目の『GUI設定』をクリック
③『ルーティング設定』→『スタティックルート』をクリック
④『NWアドレス』に宛先アドレス
⑤『サブネットマスク』にサブネットアドレス
⑥『ネクストホップ』にNWアドレスへ進むための宛先を指定
⑦『追加』をクリックしてスタティックルートをルーティングテーブルへ追加
<ルーターへのスタティックルート割り当て方法(CUI)>
①対象のルーターをクリック
②GUIが表示されるので上部タブ、右から2番目の『CLI』をクリック
③以下コマンドを実行する
1:enable
2:ip route 『NWアドレス』 『サブネットマスク』 『ネクストホップ』
(例: ip route 192.168.3.0 255.255.255.0 192.168.2.2)
疎通確認
各PC同士でping通信をしてみましょう。
PC0
確認用Pingコマンド:ping 192.168.3.254
PC1
確認用Pingコマンド:ping 192.168.1.254
お互いから疎通確認が取れていますね。
もしpingが失敗するようなことがあれば以下の原因が考えられます。
・手順が抜けている
・設定値を間違えている
もう一度設定値をよく確認した上で最初からハンズオンをやってみましょう!
まとめ
以上でハンズオンは終了になります、無事ルーティングはできましたか?
このハンズオンが無事出来たら他のケースでもスタティックルートを設定してみましょう。
例えばルーティング先が2つに別れている構成を組んでみてそこでスタティックルートを設定して自分の思い通りにルーティングを構築する等です。
次の記事ではダイナミックルーティングについて記載しようと考えていますので是非楽しみにしてて下さい。
では以上で失礼します。
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